下條村 伊藤喜平村長 「改革は隗より始めよ」

 長野経済研究所が発行している『経済月報』6月号に、下條村の特集記事が。伊藤村長が今までの施策、そしてこれからの町村のあり方について述べている。

・「改革は隗より始めよ」・・・中国の故事から。改革は「言い出したものから始めよ」。
・職場改革・職員研修の一環として、職員のホームセンターへの研修。職員の一番のカルチャーショックは、ノルマ設定され達成できないときは原因の分析と改善が要求されること。これにより180度とはいわないが、160度職員の意識は変わった。
・当時の職員は、労働の成果として給料がもらえる、とは考えていなかった。これはトップの責任
・道普請は住民の手で進めてきたが、当初は反対も多かった。ただし、結局村全体へ広がる。これは前述の取組で役場が変わった、職員が変わった、ということが住民へ広がったことが成功の原因
・職員も10年間で半分まで減らしたが、減らしたのではなく、これは係長制度廃止や他の改革改善の結果。
・道普請開始のもう一つの成果は、安価で済むという経済性・効率性よりも、小さな村でも失いかけていた連帯責任(共同体意識)を取り戻すキッカケとなったこと。
・村営住宅は、2LDKで家賃36,000円、11棟・139世帯、住居者の半分は飯田市から、2割は村民で結婚した後の若い世帯、2割は飯田市以外の周辺町村から、残りは県外者。
入居者には基本的には審査を行い、自治組織・消防団などに参加するかが最大のポイント。これらの条件をクリアして、はじめて「村民」となる
経済とか便利さだけを求めてしまうと、心の絆を忘れた権利主張型・義務忘却型の集団になってしまう。これは怖い
・コミュニティがしっかりしていれば、危機も乗り越えることができる。
・身の丈に合わない事業はやらない。下水道はやらず合併浄化槽を導入。国がいくら勧めても、無駄なインフラ整備はやらない
・産業振興においては、まず若者が地元で働ける、ということがテーマ。
・一次産業については、知恵を出す農業への転換を図らなければならない。作るだけで満足する農業はこれからはダメ。若い生産者の中に新たなグループが生まれているが、村としてはこれを収れんしていく。
・国のせいにしたり、国のいうとおりにする時代は終わり。これからは自ら知恵を出す
前向きな思考と知恵を出せた自治体と、そうでない自治体は今後大きな差がでる、そんな時代になる。

 強烈なリーダーシップを発揮して、今の下條村を築いてきた伊藤村長の言葉は響く。村のお父さんと呼ばれるのも、分かる気がする。
「改革は隗より始めよ」は、行政評価担当者として「座右の銘」候補。この気持ちで頑張りたい。
 以前、定住自立圏のシンポでも「役場が全部住民の意見を聞く必要はない。だっこにおんぶが果たしていいのか?」という発言をされていた。今回の記事の中にもその思いは表れている。
 また村営住宅の入居者に対する考え方も、定住対策担当者には大きな言葉だと思う。南信州の歴史や生活、営みなど全部を含めて理解してもらえる人に「定住」してもらわないと、持続可能な地域づくりどころか、経済も含めてその地域の誇りや歴史さえも搾取されかねない。確かに人口が増える、ということ、そこに人がいる、ということはそれだけで活気があるし、良いことだと思う。でも中長期視点で考えればどうなのだろうか?
 今回の記事を読んで、自分の仕事と照らせあわせ、こんなことを考えた。

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